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ご挨拶

人工知能(AI) /ICTを活用して
未来の医療を創る“医療人2030”
育成プロジェクトへのご協力のお願い

小林泰之

“医療人2030”育成プロジェクト 総括責任者
聖マリアンナ医科大学 デジタルヘルス共創センター 副センター長/
大学院医療情報処理技術応用研究分野 教授

医療を取り巻く状況が急激に変わりつつある今、患者・人間中心の次世代医療を創り支えていくには、AI/ICTなどの最新テクノロジーを活用すること、常識に捉われずにイノベーションを起こすこと、様々な産業とのコ・クリエーション(共創)を起こすこと、そしてデジタルネイティブ世代の若い人材に参画してもらうことが極めて重要だと考えます。
そうした未来の医療を創るための人材は極めて不足しており、新時代の医療人材の育成が急務であるという認識の下、未来の医療を創る“医療人2030”育成プロジェクトを立ち上げました。
おかげさまで多数のご支援やご協力、ご賛同をいただき、初年度となる21年度は「第1部医療AIセミナー」(全17回)、「第2部医療人2030育成プログラム」(全37回)の参加人数はのべ9,200人を超え、参加者からも高い評価をいただきました。
また「第3部次世代医療を創る医療人2030コミュニティMIRAI」には34組が参加し、半年間にわたってそれぞれのアイデアの具現化に取り組み、実際にいくつかの次世代の医療機器・アプリおよび医療サービスが生まれようとしています。
1年目の大きな成果を受け、2年目となる22年度は、Web3/DAO/NFT及びメタバースを活用し、医療・ヘルスケア×最新テクノロジー×イノベーションの下、『本当に学びたい人が集まり、本当に成長する(学び行動する)ことができるコミュニティ』をスタートさせ、さらなる内容の充実を図ります。
本プロジェクトの対象は、医療現場で奮闘されているすべての医療従事者、および、新しい医療サービスの共創を目指す企業の方々です。
本プロジェクトで育成される“医療人2030”が、これからの日本の医療や社会を変える原動力となると確信しています。
各プログラムを充実させ、我々の未来の医療を支える多くの優秀な人材(”医療人2030”)を育成・輩出するためには、引き続き各方面からのご協力とご支援が必要不可欠です。
本プロジェクトの趣旨をご理解頂き、ご協力、ご支援を賜りたく何卒よろしくお願い申し上げます。

★本プロジェクトに参加することで得られる学び★

10-20年後のAI/ICTの成功は約束されています。最新テクノロジーを活用した患者・人間中心の次世代医療を実現するための、そして個人及び企業がこれからの変革の時代に生き抜くための『武器』を配りたいというのが本プロジェクトの趣旨です。

具体的には、以下のような学びがあると考えています。

1

AI/ICTやWeb3など最新テクノロジーに
関する知識

2

最新テクノロジーが医療において
どのように活用されているのか?

3

AI/ICTを活用した患者・人間中心の
未来の医療とは?

4

将来、医療・ヘルスケア領域でAI/ICT等の
最新テクノロジーを活用するための知恵

5

医療人が知っておくべき
異種産業における時代の潮流

6

新しいアイデアを創出してイノベーションを
起こし医療・社会を変える方法とは?

7

「あらゆる変革は個人の想いから始まる」ことを
理解する

8

医療・ヘルスケア領域における
Web3/NFT/DAOやメタバースの活用法

9

AI時代・Web3時代に必要とされる人材とは?

10

コミュニティの中で一緒に夢を実現させる
仲間を見つける

“医療人2030”育成プロジェクトの意義

私の行動の源泉は「危機感」

私が研究室の仲間達とともに医療AIセミナー(2020年9月~2021年3月、全13回)を無料配信するという暴挙ともいえる挑戦を始めた源泉は強烈な「危機感」でした。このままでは近い将来確実に医療制度が崩壊してしまうという「危機感」、日本はAI/ICT後進国であるという「危機感」、このままでは日本にAI/ICTを活用した次世代医療が来ないという「危機感」です。そして、2019年世界はCOVID-19によるパンデミック時代に突入し、世界で約650万人が死亡しました。わが国のCOVID-19の感染者数と死亡者数は欧米よりもはるかに少なく、医療および感染拡大防止対策にあたった方々の献身的な尽力と国民の高い衛生意識によると考えられます。そして、WHOのテドロス事務局長は2022年9月14日、新型コロナウイルスのパンデミックについて「まだ到達していないが、終焉が視野に入っている」と言明しました。現在、COVID-19は収束の方向に向かいつつありますが、それは決してCOVID-19前の時代に社会が戻ることを意味しているわけではありません。COVID-19が変えてしまった社会や経済活動など大きな影響を残しつつ、我々はNew Normalの世界を歩むことになったのです。
ご存じのように医療現場ではCOVID-19による様々な課題が山積しています。現在直面している危機を打破し、今後起こり得るさまざまな状況の変化を乗り越えて次世代医療を創造するためには、AI/ICTを最大限活用することが必須であり、かつAI/ICTリテラシーの高い新たな医療人材の育成が急務であると確信しています。

患者・人間中心の次世代医療を担う“医療人2030”とは

AI時代やパンデミック時代など社会や医療を取り巻く環境の劇的な変化に対応して次世代医療を実現させるためには従来の常識からの脱却が必要であり、そのためには①医療以外の分野との異種融合、②デジタルネイティブ世代の積極的登用が重要です。
ソニーコンピュータサイエンス研究所所長の北野宏明氏は、「一人の研究者が複数の分野をよくわかっているときに新しいものが生まれる確率が高い。それは、自分の中で複数の分野を越境しているからです。」と述べています。Yahooの安宅和人氏は「これからの未来を創るカギになるのは、普通の人とは異なる”異人”である」とし、異人とは「ある領域でヤバイ人。夢を描き複数の領域をつないで形にする人。どんな領域でも自分が頼れる凄い人を知っている人」と定義しています。すなわち、新しい時代を切り開きイノベーションを創出するには、より多くの異なった複数のタグを身につけることが求められているのです。
また、Ziad Obermeyer先生は自身の論文の結論で、「医療の世界でも他の領域と同様に、AIの取り組みにより勝者と敗者が出現する。しかし、最大の勝者が患者さんであることは間違いない」と述べています(N Engl J Med. 2016 Sep 29;375(13):1216-9.)。素晴らしい指摘であり、医療の変革に関わるすべての人間が心に留めて進まなければならない言葉です。
今、私達は病気(illness)を対象としてきたこれまでの医療から、ウェルネス(wellness)、すなわち「身体の健康、精神の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして、豊かな人生をデザインしていく医療」、そして最終的には個人レベルの幸福(happiness)を目指す医療へ、大きなパラダイムシフトに挑戦すべきタイミングに立っています。そして、このような医療変革を具現化していくには、医療現場に関わる医療従事者の参加はもちろん企業の方々と共創していくことが重要です。
医療に関わる既存の課題解決と未来の創出には、「医療・ヘルスケア×テクノロジー×”ヒューマン”」という考え方をベースに、AI/ICTなどの最新テクノロジーを活用して、様々な産業とのコ・クリエーション(共創)を起こし、常識に捉われないイノベーションを起こすことが不可欠で、そのためにはデジタルネイティブ世代の若い人材に参画してもらい、最終的に患者・人間中心の次世代医療を創り上げていくことが必要です。
“医療人2030”とはいかなる人材でしょうか?私は、医療従事者のみならず、我々と共創してともに歩んで頂ける企業の方々も含めて、医療、すなわち命に携わるという強いプロフェッショナリズムを持ち合わせた、次のような人材であると考えています。

  1. AIなど最新テクノロジーを含む複数の専門性を持つ
  2. 予測不可能な未来は自ら創るものであると考えられる
  3. 広い視野を持ち常識に捉われずイノベーションを起こせる
  4. 分野を超えた共創を積極的に推進できる
  5. 人と異なる道を進む勇気を持てる

新時代の人材育成プログラムを創る!
初年度の“医療人2030“の結果は如何に?

AIの教育プログラムとしてはMassive Open Online Courses (MOOCs)が活用可能で、ここでは超一流の講師陣による教育プログラムが聴講のみであれば無料で配信されています。しかし、無料~低価格で開催される誰でも容易に参加可能な優れた医療系人材育成プログラムは私の知る限り存在していません。
「AI/ICTを活用した、人間を中心に据えた未来の医療を創る人材が全く足りない。パンデミック時代を乗り越えるためにも新たな時代の医療人材が急務である。にもかかわらず、その人材育成プログラムがない。そうであれば我々自身で創ろう」と決心致しました。
昨年度、本学で『未来の医療を創る“医療人2030”育成プロジェクト』を本学として本格的にスタート致しました。昨年度の実績は以下の通りです。
会員数:831名
後援:川崎市産業振興財団
協賛企業:7社(エヌビディア合同会社、中外製薬株式会社、株式会社新日本科学、株式会社コランダム・システム・バイオロジー、GEヘルスケアファーマ株式会社、ゲルベ・ジャパン株式会社、他1社)

講演へのライブ参加/動画視聴の延べ人数:9,227名
Ⅰ.医療AIセミナー(全17回):新日本科学の研修プログラムに採用
Ⅱ. 医療人2030育成プログラム(全37回):日本を代表する大企業役員・ベンチャー企業社長らの講演とワークショップを行った。
Ⅲ.コミュニティMIRAI(6ヵ月):34組の個別プロジェクトを創出した。複数のプロジェクトが現在も進行中。M氏の課題はLink-J のMed Tech Pitch Contestで最終Demo Dayの6組に選抜、Y氏はCHENGE by ONE JAPANの最終ピッチの5人に選抜されている。K氏のプロジェクトは最近注目度が急上昇してアクティブなDAOが進行中です。このように質の高いプロジェクトがMIRAIから生まれています(2022年10月4日現在)。

今年度の新たな挑戦に向けて!

今年度は、Web3/DAO/NFT及びメタバースを活用し、医療・ヘルスケア×最新テクノロジー×イノベーションの下、『本当に学びたい人が集まり、本当に成長する(学び行動する)ことができるコミュニティ』をスタートさせます。まだまだWeb3/DAO/NFTを知らない方が多いと思います。各国政府がWeb3への取り組みを相次いで表明し、大企業の参入も相次いでいます。本年5月に岸田首相がWeb3を日本の成長戦略の柱にすると表明しました*。すでにNishikigoi NFTなど地方自治体の取り組みなどが報告されています。教育・人材育成や医療・ヘルスケア領域では、まだ普及していませんが、我々はWeb3を活用して「人間の行動をデザインできる」可能性に注目して、壮大な挑戦をすることとしました。実は、既に本学の医学生がMedical DAOを立ち上げて、400名を越える仲間が集まっています。近い将来に、医療の世界にもWeb3/DAO/NFT及びメタバースが確実に活用されるようになります。是非、今年度の我々の挑戦プログラムを活用して、近未来に備えて頂ければと思います。

*Web3/DAO/NFTにご興味ある方は、自民党のデジタル・ニッポン2022(https://www.jimin.jp/news/policy/203427.html) にあるホワイトペーパーをご覧下さい。

“医療人2030”が日本の次世代医療を救う!

今回、我々が提供する本プログラムはこれまでに前例のない大きな挑戦です。
その社会的意義の高さから聖マリアンナ医科大学として本プロジェクトを進めることに致しました。また、本プロジェクトの目的に御賛同頂き、各領域のトップランナーである著名な先生方に多数ご参集頂くことができました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。
本プロジェクトの対象者は、パンデミック時代に対応するための患者中心の次世代医療の実現を目指すあらゆる医療従事者、そして我々医療従事者と共創して頂ける企業の方々です。分野の異なる領域の魅力的な講師陣が最新技術を活用して未来の医療・ヘルスケアを創る人材を育成するという目的で一堂に会するプログラムは過去に例がありません。また、所属や職種、年齢を越え、参加者同士のコミュニケーションを通じて切磋琢磨する仲間を得られるプログラムは唯一無二の価値があると自負しております。医療やビジネス分野での経験豊富な方はもちろん、デジタルネイティブ世代の若い人材にもぜひ参画してもらいたいと考えます。
パンデミック時代に備え、AI/ICTを活用してイノベーションを起こして日本の医療崩壊を防ぎ、かつ患者・人間中心の医療を実現しなければなりません。本プロジェクトにより、グローバルレベルで医療を創る側(サイド)に立ち、未来の医療創出のために活躍できる人材である”医療人2030“が多数育成されると確信しております。

参加者アンケート回答

・たいへん分かりやすい説明で、何となく分かったつもりになっていたところがすっきりした。
・ソースコードとその説明が丁寧すぎて感動した。後で自己学習するときに大変役立つ。
・もっと深く勉強したいという思いが一層強くなった。
・垣根を越えたところに新しい世界が開けると感じられた。
・医療従事者ではなく企業の視点からみたAIについての講演は新鮮な視点だった。
・最新の知見を含めた話しのみならず、その後の質疑応答で視点を拡げられた。
・講師に直接質問できるため、聞いているだけでもとても勉強になった。
・紹介された技術が臨床現場のニーズ目線であること、現象や動向に対する洞察・今後見据えていることが本質を捉えていて、目から鱗に感じるところがたくさんあった。
・病気を直すのは手段であり、人を癒すのが医療という本質を再認識させられた。
・臨床現場にいると根本的な治療が最重要だと考えがちだが、対症療法であってもAIを活かし患者の幸せに繋がると分かった。患者の幸福を基に医療AIを用いた取り組みを考えていきたい。
・情報発信の重要性と、行動を起こしていく必要を感じた。
・所属組織を俯瞰的に観察し、解決すべき課題とその解決策を考えるようになった。
・違うコミュニティに入り仲間を作ることがどれだけ大切かを実感し、広い視野をもっていろいろなコミュニティを覗いてみようと思った。こうした考えを若い人たちにも伝えていきたい。
・自分で事業を起こすことの魅力を再認識できた。
・AIコニュニティーを作る活動を始めた。

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